奥の細道ー福島
早苗とる 手もとやむかし しのぶ摺
(さなえとる てもとやむかし しのぶずり)
「しのぶもじずり」とは、乱れた模様の石に布を置き、上から忍ぶ草など葉や茎の色素を摺(す)りつけた染め方。
その昔、嵯峨天皇の皇子、源融(みなもとのとおる)が陸奥出張のおり、滞在した家の娘とラブラブになったのですが、都に戻らなくてはならなくなった。
娘はこの文知摺石(もじずりいし)を麦草で磨き、ついに融の面影を鏡のように石に映し出すことができたそうです。
結局二人は二度と会えなかったのですが、融ももぢずりのように心を乱された心境を歌に残しています。
みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに
百人一首で有名ですね。
芭蕉さんが訪れたころはもぢずりはすでに途絶えていたそうで、早苗をとる早乙女たちの手つきに、もぢずりの摺り手を偲んだのでしょう。
この石、昔は山の上にあったそうですが、石に摺りつけるため、麦畑の麦を取っていく不心得ものが多かったせいで、村人たちに谷へ突き落とされたそうです。
「恋しい人の顔さ浮かぶかどーか知らんけど、麦っこの方がだいじだべ」(村人?)
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